REPORT 現場リポート

岸田首相とアメリカへ ~政府専用機に乗って同行取材~

2024.05.29
制作技術・報道技術

こんにちは!報道技術部カメラマンの加藤です。
4月8日から4月14日まで、岸田首相が国賓待遇でアメリカの首都・ワシントンD.C.とノースカロライナ州を訪問しました。
今回私は、この公式訪問の取材をするため、JAPAN POOLの一員として同行取材をしました。
首相同行取材とはどういったものなのか、お伝えします。

 

■ JAPAN POOLとは?
日本の総理大臣がG20やASEANなどの各国首脳が集まる国際会議や首脳会談などのために外国を訪問する際、現地では取材スペースやセキュリティーなどの関係で取材クルーの数が制限されます。
そのためNHKと民放各局で取材内容や映像を共有するための取材団が結成されます。
それがJAPAN POOLです。
JAPANとついているだけあり、日本の代表クルーとして取材をします。
また天皇陛下の海外訪問時にもJAPAN POOLが結成されます。
逆に言えば、天皇陛下と総理大臣の海外訪問時(稀に国内でも)にしか結成されない特別な取材団です。


初めて乗った政府専用機

私も先日、岸田首相のアメリカ公式訪問の際、JAPAN POOLの一員として取材にあたりました。
今回はワシントンの後ノースカロライナへ向かうスケジュールだったため、NHKと民放各局が1クルーずつ、そして首相公式カメラの毎日映画社2クルーも加わり、合計8クルーで取材団を結成しました。
取材団には首相を現地で迎える「先乗り班」と、政府専用機に一緒に乗って向かう「同行班」があるのですが、今回私は同行班として参加しました。
ワシントンD.C.に4日間、その後ノースカロライナに2日間、そこに行き帰りの移動時間を合わせて7日間のスケジュールでした。
実は、昨年8月にもJAPAN POOLの一員として岸田首相のワシントンD.C.訪問に同行しましたが、その際は先乗り班として取材しました。
そのため、政府専用機を外から撮影したことはありましたが、乗ることは初めて!!
初めての専用機に少しテンションが上がりました。
政府専用機は航空自衛隊が運航を担当しているため、パイロットや機内サービスを担当する客室乗務員もすべて航空自衛官でした。
そのため客室乗務員の方々は、自衛隊の制服を着用されていました。
座席はエコノミークラスより少し広めの座席でゆったりと座れ、機内食もおいしかったです。
私は行きの機内では、アメリカに着いてからの取材に対して不安と緊張が多く、全く眠れず、映画を4本観て過ごしました。


機内食(私には量が多かったです)

 

■ 海外取材の洗礼を受ける?!
現地では首相の過密スケジュールを、JAPAN POOLメンバーで手分けをして取材します。
私は、ホワイトハウスでの歓迎式典や共同記者発表、日本の首相としては2015年の安倍元首相以来、約9年ぶりに連邦議会で行われた議会演説などを取材しました。
毎回スイープと呼ばれる警察犬によるチェックや金属探知機での検査など、厳重なセキュリティーチェックを何回もしないと現場に到着出来ません。
そのため毎回取材の3,4時間前にはホテルを出発していました。
また、一度現場に入ったら外に出ることができない場所や、セッティングだけしたら一度外に出され、直前まで入れてもらえない場所などもあり、セキュリティーの厳しさを実感しました。
中でもホワイトハウスは制限も厳しく、私が入った取材では三脚もNO、大きい荷物もNO、動くのもNOと言われてしまい、NOと言われることが多かったです。
そしてもちろん日本の代表クルーとして取材に行っているので、日本人の撮影クルーは自分たちだけということも多々ありました。
周りは海外メディアの撮影クルーや外務省の方々なので英語でのやりとりが必要な機会も多かったです。
ちなみにこの時初めてバイデン大統領を生で見ました。
目の前をジル夫人と並んで歩くところを撮影していたのですが「テレビで見たことある人だ!」「意外とおじいちゃんなんだなぁ」と感想を抱きました。


歓迎式典を撮影するために準備している多くのメディア

 

連邦議会での演説の取材の際には、建物内部の撮影はNGとこれまたセキュリティーが厳しく、写真が撮れなかったことが残念です。
また、機材セッティング中に岸田首相が演説のリハーサルをするという貴重な機会に遭遇したのですが、これもまたカメラ撮影をしてはいけないと、カメラマンとしてはなんとももどかしい時間でした。
演説はテレビ各局に生で配信する「生スルー」ということで緊張した上に、議場内がとても寒いということもあり、手が震えましたが、何とか無事終了することが出来ました。
その後は次の取材地であるノースカロライナへの移動に備え、機材の梱包に取りかかりました。


建物内部の撮影がNGのため外観しか撮影できなかった連邦議会

 

ノースカロライナは、ワシントンD.C.とは違う自然豊かな長閑な雰囲気で、とても気持ちよく感じました。
ノースカロライナでは、首相が到着した際の様子を政府専用機の側から撮影したり、日本語を勉強する地元の中学生との懇談の様子を取材したりしました。


ノースカロライナに到着直後の岸田首相を政府専用機の前で撮影する筆者


ノースカロライナの学生との懇談が行われた施設(よく見るとスイープをする警察犬がいます)

 

■ 取材のほかにも・・・
スケジュール次第ですが、今回は取材の合間合間に自由時間も作ることが出来ました。
取材が終わってから、近くを散歩したりご飯を食べに行ったり、同じJAPAN POOLの一員として参加した他局の方々と散策したりしました。
日本の代表クルーという緊張感、取材の忙しさ、そして時差ボケなどもありましたが、楽しむことも大切!仕事は仕事、観光は観光、と気持ちを切り替えて合間の時間を満喫しました。
 


取材が終わって行った国立航空宇宙博物館(ワシントンD.C.)


お散歩中に見た桜とジェファーソン記念館(ワシントンD.C.)

 

■ 今回の外遊を通して・・・
緊張感と適度な楽しさを感じながらの岸田首相の公式訪問取材。
日本を代表して取材するため、ミスは許されない上に、体調不良等で参加できなくなったら・・・と考えると責任が重く、なかなか眠れない日が続きました。
しかしながら、普段とは違う場所や環境で取材をする経験や歴史的な瞬間を撮影する達成感など、いつも以上にその重みや充実感を味わう取材となりました。
この経験を糧に、引き続きニュースを撮影していき、また次回の首相の外国訪問取材に行けるよう頑張っていきたいと思います!



ホワイトハウスの前にて筆者

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