REPORT 現場リポート

Freshman's Report 2022 Vol.5「制作技術センター 報道技術部 報道スタジオ」

2023.01.26
制作技術・報道技術

いつの日か「扇原ヨロシク!」と言われるように…

皆さんはじめまして。
最近の個人的金言は「人生で一番若いのは今」
何を始めるにも遅すぎるということはないと信じてやまない、扇原と申します。
報道技術部でスタジオVEを担当しています。

扇原は「おうぎはら」と呼びます。出身は富山県です。
新幹線が開通する前は、富山出身というと「そんな県は存在するのか?」と言われた人もいるそうです。特産品は「ます寿司」、家庭ごとに贔屓のお店があるという噂は事実です。
そして聞きなれないVEという職種。VEとは「ビデオエンジニア」の略で、スタジオカメラの色味の調整、映像や音声の監視、機材のセッティングなど多岐にわたる業務を行っています。業界外の人に仕事を聞かれても、なんとも説明し辛かったりします。
VEの細かい仕事内容に関しては、制作技術部や中継・スタジオ技術部(現:報道技術部)の先輩方のFreshman’s Reportをご覧ください。

配属されてもうじき8ヵ月、右も左もわからぬまま駆け抜けてきました。
駆け抜けてきた間、何を学び何を感じたか、自分なりの目線でレポートしたいと思います!

 


持っているのはカメラ調整で使う「グレースケールチャート」、修理して永く使えるようにするのも仕事です。

 

■ 最近の中継の主流はIP中継 リュック1つあれば中継可能!
VEの仕事の一つに、映像や音声の監視があると前述しました。
特にその中でも気にしておかなければいけないのが、外部からの中継回線です。
中継回線には、マイクロ波・衛星・IP・光回線と伝送方法が数種類存在するため、それぞれの特性を加味して監視しなければいけません。特に昨今流行りとなっているIP回線中継に関しては、現場の回線状況に左右されるため、どこから中継しているのかも重要なファクターとなります。
報道番組では、いかに今起きている社会情勢を素早く・正しく伝えるかが重要となっています。
そのためにも、現地からの映像を素早く放送することが求められます。情報番組の企画中継やスポーツ中継のように、安定した回線を準備できることはほぼありません。そのような状況の中で、何とか良い状態で放送できないかを、デジコンや回線センターの皆様と一緒に模索し、それでも放送事故になりそうな状況の場合は、勇気をもって使用を諦めてもらうように説得するのもVEの役目です。
(デジコンとは… こちらの記事もご覧ください。 アメリカ大統領選挙 ~ テレビ局側のお話 ~|現場リポート|NiTRo|株式会社日テレ・テクニカル・リソーシズ)

我々の仕事で重要なのは、いかに制作側の意向を汲みつつも、放送される映像・音声の品質を保つかという部分だと考えています。回線が安定しているなど理想的な状況にはならないため、何を取って何を捨てるか、それを瞬時に考え行動しなければいけない部分が、難しくもあり報道番組の面白い部分だと感じています。

 

■ 報道フロアの実情&日本に激震が走ったあの日…
何となく報道番組と聞くと、「スタッフが走り回っている」「ディレクターの怒号が飛び交っている」という印象を抱かれる方も多いと思います。あながち間違ってはいませんが、常にそのような状況ではありません。緊急発生事項がなければ、事前に決まっているニュース項目を順番通りに放送しています。これが、報道フロア・スタジオの平和な日常です。
ただ、事件や事故・災害が発生した際は、蜂の巣を突いた様な大騒ぎになります。

例えば去年起きた一大事件といえば…
2022年7月8日金曜日、奈良県・大和西大寺駅前にて安倍元首相が銃撃される事件が発生しました。
当時私はまだ配属一か月であり、研修についている状況でした。
11時45分頃、報道局内に「安倍元総理が撃たれたらしい」との情報が入りました。
いつもであれば、ストレイトニュースが終わりホッとする時間ですが、報道フロア全体が緊張で張り詰めていました。
しかし、今後の展開が全く分からない状況の中で、いつでも緊急ニュース挿入ができるように、着々と準備を進める先輩方の姿がそこにはありました。
当日は、「ヒルナンデス!」中の緊急ニュース挿入から、途中読売テレビ制作の「ミヤネ屋」を挟み、「news every.」や「news zero」の枠拡大での対応となりました。
昼の12時頃から夜中24時ごろまで、ほぼ半日を報道スタジオから放送することとなりました。

当時は研修中の身のため、差し入れの食事をとりに行くぐらいしかできませんでした。ただ、このような緊急事態でも、普段と同じように冷静沈着に放送に臨む先輩方の姿を見て、どのような状況にあっても、普段と同じ、それ以上に冷静に放送に臨むことが必要と肌で感じました。
それから8ヵ月弱が経ち、放送中の地震や事件などで報道フロアがバタバタする場に何度か立ち会いました。
そのような時でも、あの時の先輩の姿を思いだし、焦ることなく求められたことを冷静に、かつ素早く処理するように意識してきました。


「ラック室」と呼ばれる機材がたくさんある部屋です。「パッチ」と呼ばれる作業、電話交換手のような仕事です。

 

■ 個人的な仕事の話と今後の野望
現在、研修はすでに終わり、地上波ニュース担当のN1/N3サブ、CS/インターネット配信担当のN2サブのVE業務を行っています。N1~N3サブはそれぞれ機材構成や癖が違っているため、それぞれの勤務の時に頭を切り替えないといけません。まだまだ細かい部分については勉強中のため、心の中では「機材トラブルが起きないでくれ!」と願うこともしばしばあります・・・。
残念ながら祈りもむなしく、トラブルを引き当てることは多いですが(笑)

実際のニュース制作に携わって感じるやりがいは、全国放送であること・社会の動きを最前線で知ることができることです。
前者は少しでも多くの方に見てもらえるという嬉しさ、後者は今起こっている出来事を逐一知ることができるという面白さであると思います。
その一方で、情報を送り出す側として間違いがないように心がけています。VEの些細なミスが、誤った情報を放送したり放送事故につながったりする可能性があります。
現在の業務では、チェックをしっかりと行うことを継続し、事故を起こさないこと、機材の知識を蓄え緊急時にすぐに対応できるように準備すること、これらを最重点に仕事を行っています。
今後は、機材や放送への技術的理解を深めると主に、自分だからできる強みを見つけたいと思います。

冒頭に書きました、「いつの日か『扇原ヨロシク!』と言われるように…」というのは、VEとして求められる知識は持ち、緊急時に問題なく対応ができる。それに加えて、「扇原に任せたらより良いものができる!」と思ってもらい、御指名をいただけるほどの仕事ができるようになるという願望を込めたものです。
これからも努力し続け、早く一人前になれるように頑張ります!

 


筆者(カメラチェック中)


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