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「OB-X」で日本テレビ初の4Kプロ野球生中継!!

2015.09.09 制作技術

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2015年8月30日(日)、
プロ野球 巨人vs中日戦 は、シーズンも終盤を迎え、
中日5点先制をひっくり返す巨人の逆転勝利試合でしたが、
実はその裏でもう一つのドラマが繰り広げられていました・・・

それは、日本テレビ初となる4Kでの野球生中継!!
(生放送は「スカパー!4K総合」)

この中継は、日本テレビ技術統括局主導のもと、
我々NiTRoスタッフとメーカー各社の
精鋭総勢50名を超える技術スタッフで臨みました。

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↑支援車内に組まれた音声機材(今回の音声は5.1chサラウンド)

今回の中継は今年7月、NiTRoに納車された新中継車OB-Xでの4K初挑戦になります!
これまでに、「巨人イースタン中継」「笑点」「24時間テレビ」などで、
HD放送の中継業務は行いましたが、4K生中継は初!


機材準備は本番前々日の28日(金)。
この日の準備はまる一日、各所から集められた大量の機材を振り分け、
本番と同様の組合せでカメラを組み上げ、メーカーさんとNiTRo VEチームとの入念なチェック。
そして万全の準備をして翌日のセッティングへ。 

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本番前日は現場となる東京ドームで各機材のセッティング、
その後はリハーサルとして実際に試合を6回までテスト撮影しました。
4Kモニターで映像をチェックしながら、ディレクターと技術スタッフで
「4Kならではの画作り」について徹底的に話し合いました。
   

そして中継当日。
日本テレビ初の4K野球生中継ということで多くの関係者が視察に駆けつけ、
中継車脇には65インチ4Kモニターを設置。ついに注目の中継が始まりました!!

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4Kでの撮影で一番難しいのが「フォーカス」です。
VF(ビューファインダー)も日々進化し以前に比べて合わせ易くなりましたが、
動きのあるスポーツの撮影ではピントがボケないようにとても神経を使います。


今回は、放送用箱レンズと呼ばれる100倍相当レンズとシネレンズの混合で撮影をしました。
見た目に感じられたことは、シネレンズの方が被写界深度が浅くフォーカスも難しいですが、
逆にそれが被写体を際立出せバックはボケるという、
効果的な映像を生みだすということです。

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また、今回の野球4K生中継でこだわったのが、「サイズ」です。
もともと大画面で見ることが前提の4K放送では画の情報量が多いわけですから、
1枚画でどこまで見せるかがテーマになってきます。


一番有効だったのは、ボールの行方などを撮影する3カメでした。
ランナーがいる時に、打ったボールをダイヤモンド込みで撮影すると、
1枚画の中でボールの行方、ランナーの動きがわかり、
まるで球場にいるような臨場感が味わえます。

13.jpg 3カメ

NiTRoでは今まで多くの4K撮影を行ってきましたが、
今回の中継で初めて投入された機材のひとつが4Kカメラ「SONY HDC-4300」です。
このカメラは、世界で初めて2/3型3板式4Kイメージセンサーを搭載し、
従来のHDレンズをそのまま使用でき、また被写界深度の深い(ボケ足の少ない)映像が撮影できる
テレビ放送用の4Kカメラです。

そしてもう一つが2/3インチ対応(B4マウント)の箱型レンズ「FUJINON UA80×9」、
世界最高の高倍率をもつ4K対応レンズです。
上記「HDC-4300」カメラとの組合せで、
HD放送とほぼ同じサイズ・被写界深度で撮影することができ、
今回は1カメ(センターバックスクリーン下から
ピッチャーの投球動作+キャッチャー・バッターを狙うカメラ)でキレのある映像を提供しました。

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そして、4K中継ではおなじみの4Kハイスピードカメラ「FOR-A FT-ONE」。
肉眼では見ることの出来ない超スロー映像はスポーツ中継に欠かせません。
今回の中継でも外野にゴロで抜けるボールが作り出す砂しぶきや、
悔しがる、あるいは喜ぶ選手の表情など、
今まで見たことのない迫力のあるスロー映像をたくさんお届けできました。

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今回、日本テレビグループの力を結集し、
初の日本テレビ4Kプロ野球生中継は大成功で終えることができました。
大画面で見る4K映像は臨場感があり、それは従来のHD映像では味わえないものです。

    

今後もNiTRoは4K中継の先頭を走り、視聴者に迫力のある映像を届けていきます!!

18.jpg 筆者